この場所には、名前を持つ前の時間があります。
Dears.があるこの場所は、ある日突然つくられた場所ではありません。
同じ文化圏の中で、長く親しまれてきた空間があり、
人が集い、距離感を尊重しながら時間を過ごすための、
静かな居場所として使われてきました。
その空間が役目を終えたのは、夏の終わり。
そしてこの場所は、長く眠ったわけではありません。
必要な準備の時間を経て、
その年の冬、新しいかたちで静かに扉を開きました。
新しい店をつくるだけであれば、
この場所である必要はありませんでした。
より多くの人に向けた形に整えることも、
にぎやかさを前に出すこともできたはずです。
それでも、あえてこの場所を選んだのは、
ここに流れていた「文化の温度」を、そのまま消したくなかったから。
距離感を大切にすること。
互いの空気を尊重すること。
自分の意思で、関わり方を選ぶこと。
それらを理解してきた人たちの居場所として、
もう一度、この場所を整え直すことを選びました。
Dears.という名前は、
この場所に流れていた時間と文化を、
どうしても途切れさせたくなかったという想いから生まれました。
この場所に流れていた時間と文化の“頭文字”を、
静かに引き継ぐかたちで、
新しい名前が選ばれています。
表に出すための主張ではなく、
わかる人には伝わる、静かな継承です。
Dears.のロゴには、
この空間の在り方そのものが込められています。
グラスを思わせるかたちの中に、
この場所の文化を象徴するモチーフを忍ばせ、
さらに、かつての系譜を示す小さな印を、
ひとつだけ静かに隠しています。
それは説明するためのものではなく、
この場所の空気を理解してきた人たちへの、
小さな合図のようなものです。
Dears.は、過度に介入しない空間であることを選んでいます。
この場所でどのように過ごすかは、
ご自身の意思と責任に委ねられています。
ここは、ただにぎやかなだけの場所ではありません。
「遊び場」であると同時に、
静かに時間を重ねていける「居場所」であることを、
大切にしています。
そのため、
この空間の空気を守るためのルールとセキュリティを、
少しだけ大切にしています。
Dears.は、
この場所の空気を理解し、
大切にしてくださる方と、
静かに時間を重ねていけることを願っています。
この場所には、
名前になる前から続いてきた物語があります。
それを少しだけ整え直し、今の時代に残すための場所です。